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不動産会社でもない、個人の不動産アカウント……その正体とは?

YouTube、X、ブログ記事。これらのSNSで[ワンルーム投資]と検索してみると、まず目に入るのは「不動産業者」のアカウントや広告ですが……。

最近はそれと同じくらい「個人アカウント」を見かけるようになってきました。売るワンルームでも毎日更新中の「YouTube」にスポットを当て、この方たちは何者か?目的は?問題は?について掘り下げていきます。

そもそも「不動産業者」とは?

投資用ワンルームに限らず、不動産売買や賃貸の仲介業務を行うには『宅建免許』が必要です。不動産を取扱うための専門的な知識やスキルを持っているか、行政が判断そして管理するための免許制度です。売却や購入は個人でも可能ですが、不動産を売り買いするという経験は人生でそう多くありません。そのため「反復して売買を行い、事業として捉えられる」範囲・量の場合は、個人でも『宅建免許』が必要になることがあります。

この免許制度は、不動産取引を円滑かつ安全に行うため以外に『消費者保護』もおおきな目的となっています。わかりやすく言えば「不動産知識に詳しい業者が、なにも知らない消費者を騙したり損させない」ため、免許(許可)制度で不動産業者を管理監督し、宅建業法というルールで違法行為を縛っている側面があります。宅建免許を持つことで、業者は正当な業務遂行をする義務が生じるのです。

翻って言えば、この宅建免許を持たない(可能性が高い)にも関わらず、不動産の売買に助言・斡旋していることが、根本的な問題です。具体的には『個人の不動産系YouTuberは宅建業法の適用外=トラブルなどに対し責任を負う義務がない』『自身で不動産売却の仲介ができない以上、第三者がどこかのタイミングで介入してくる』といったリスクが生じます。

いわゆるブローカー?

よく「不動産系YouTuber」という表現が用いられますが、昔からの表現でいうと「個人の不動産ブローカー(宅建免許を持たず、無免許で不動産取引を行う個人や会社)」です。もちろん取引へ直接的に関与してしまっては、「無免許営業」「宅建業法違反」となり、罰金や実刑になる可能性があります。そのため、当人は実務部分にはタッチせず、宅建業者へ実務を代行してもらいます。

ここで「最終的に宅建業者にバトンタッチして、その業者が仲介業務を行うのなら、中間の個人は必要なのか」という疑問が生じます。まさにここが、売るワンルームが業界構造の問題と考えているポイントです。

そもそも不動産系YouTuberで、本名や具体的なプロフィールを公開している方はほとんど見つかりません。大体が匿名に近いかたちで、ワンルーム投資歴もざっくりと記載されています。投資という商品の性質上、顔出し・実名でやるほうが信頼度は増します。個人の特定を防ぐ目的もあるでしょうが、やらない・できない理由があると考えられます。相談や依頼の検討時、どこの誰か知らない方へ連絡しようとしていることは意識してください。YouTubeで見ているから知った気になっているだけなのです。
場合によっては、相談者は所有物件の情報を筆頭に、相手側に資産情報を公開する必要があります。不用意な個人・資産情報の開示により、第三者への情報提供などのトラブル、見知らぬ会社から営業を受けるなどのリスクを考慮しないといけません。個人の方へ相談をする場合、すべては「自己責任」です。

また先ほど触れたように、個人の不動産系YouTuber=宅建免許を持っていない可能性が非常に高いです。仮に魅力的な条件提示があり、売却手続きを進める場合、当人は対応せず宅建業者に引き継がれることになります。このタイミングで、聞いていた売却条件と違うものが提示されるリスクもあります。
悪意を持って「騙す気でやっている」のは論外ですが、そうでなくても、不動産知識や契約履行の誤った知識をもとに提案されている可能性を疑い、ご自身で確認しないといけません。「聞いていた内容と違う」と問い詰めても、相手を罰する縛りや負う責任はないのです。

重要なことなので何度も繰り返しますが、個人の不動産系YouTuberは「宅建業者ではない」ことが最大の問題です。売主・買主・仲介いずれの立場でも責任が発生する宅建業者と異なり、自身で責任をとる必要(義務)がないのです。そういう立場の方へ、本当に自身の資産相談をしてもいいのか、もっと頼るべき相談先はないのか、慎重に検討することが必要です。

裏に不動産会社の存在?

「最終的に売却手続きを行う際、宅建業者に引き継ぐ」。実はこの内容も、当人と業者間で予め打ち合わせされています。不動産投資の経験値をアピールし、オーナー目線で助言できると謳う不動産系YouTuberの場合、基本的に「予め裏で送客の約束をしている不動産業者がいる」と思っているべきです。
不動産業者がSNS上で広告を打っても、反響問い合わせは少ないのが現実です。「ここに問い合わせて騙されないか・信用できるかわからない」という不信感が先行し、いきなりの問い合わせには繋がりません。そのため「同じ不動産オーナー」で「投資知識もあり」かつ「業者じゃないから気軽に相談できそう」なYouTuberを入口にして、送客してもらいます。

不動産系YouTuberにどんな相談をして、どんな助言をもらったとしても、最終的には協業先の業者を紹介される……「最初から業者への送客ありき」です。当人としては真摯に相談に乗っても契約や仲介ができないので、当然、仲介手数料はもらえません。それならば、うまく相談者を誘導して協業先へ送客し、その業者からキックバックをもらうほうがお手軽で儲かるのです。
手間ヒマをかけてYouTube動画を作成公開し、無償もしくは格安の相談料で依頼を請負い、真摯に解決策を模索提案する個人投資家……。いないとは言いきれませんが、それより「お金儲け」のためやっていると考えるのが、自然ではないでしょうか。

相談者も、一度頼った相手から紹介された業者です。いきなり営業されたわけでないため、話の内容を信頼しがちですが……。このような回りくどい集客を行っている業者は、果たして優良業者といえるでしょうか?そもそも「YouTuberと業者の利益確保」を目的としているならば、困って相談している本人は二の次、まずは自分たちの利益を優先…と考える業者の可能性が高いかもしれません。
たとえば「私もこの会社に買取してもらったので安心です」「買取なら仲介手数料が不要な分、お得」と買取業者を紹介されたとして、
その提示金額が実は相場より安価なものだったら…気付けるでしょうか?同じワンルーム投資をしているオーナーだから、自分の気持ちもわかってくれるはず……と期待してしまうのはキケンです。

相談先の見極め方。

ここまでの話をまとめると下記となります。

 

個人の不動産系YouTuberは『宅建免許を持っていない』ことがほとんど

● 宅建免許がないので、実務(契約手続きや仲介業務など)はできない

● 最終的に、YouTuberと協業関係にある不動産業者が登場する

● 2者が協力関係にある以上、相談者より自分たちの利益を優先するリスク

● あくまで個人のため責任を伴わない、トラブル時は自己責任で解決が必要


最後に、個人でやっているYouTuberに限らず、どのような相談先ならばリスクが少ないかを考えます。まず最初に見るべきは『宅建業者かどうか』です。
YouTubeチャンネルの運営会社がどこか・宅建免許番号があるかを確認し、記載がない場合、相談や依頼は控えたほうがいいかもしれません。あるいは個人情報を出さずに相談を進めていくべきです。最初から氏名や連絡先など、多くの情報を聞いてくる場合は注意が必要です。

実際に相談や依頼をする場合、不動産業者を紹介されたら、その1社以外ともやり取りすることが重要です。いわゆるセカンドオピニオンをとることで、提案内容の精査や価格の妥当性を自身で判断しやすくなります。
「そもそもどこへ相談すればいいかわからない」という方は、一括査定をしてみるのも手です。ただし依頼したすべての業者から大量の連絡がきますので、一括査定の依頼先は2~3社に絞ることが重要です(それでも連絡は多いですが…)。

とくに売却相談の場合は「提示価格の根拠と妥当性」に注目してください。わかりやすく不安を煽るだけで投資メリットに触れてこない、他社の悪口ばかり言う、判断を急がせたり会おうとする。こういった業者は要注意です。具体的で理解しやすい事例を提示する、相談者の事情を考慮して売却時期の提案がある、など、ご自身や物件のことを考えた提案内容になっているかがチェックポイントです。

個人の方が入口となり、奥に不動産業者が待ち構えている……。ワンルーム投資の不透明さを象徴するような構造ですが、残念なことに、それらしいYouTubeチャンネルを多数見かけます。登録人数や視聴回数の多さだけで信用してしまうのは非常に危険です。「誰が言っているか」よりも「何を言っているか」「その真意は」を考えることが、安心して相談できる相手を見つける重要なことです。


■ 参考YouTube動画

宅建免許を持たない「不動産系YouTuber」について(タップで再生)

 

不動産YouTube、それぞれ言っていることがバラバラな理由(タップで再生)


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