この記事を読んでいる人のなかにも、販売会社の営業マンから節税になるという話を聞いてメリットを感じ、投資用ワンルームを購入した方もいると思います。ですが実際に所有してみて何度かの確定申告をする度に、その節税効果には疑問を覚える人も多いかもしれません。それにWEBやSNSなどを見ていると節税になるとかならないとか・・どちらの情報もあってよく分からないという声も聞きます。
結論から言えば確かにワンルーム投資は節税にはなります。しかしその節税効果がどれほどのものになるのかは、その投資用ワンルームの購入価格や築年数、そしてオーナー自身の収入などによっても変わってきます。ですから購入目的を節税と考えてワンルーム投資を始めた場合、失敗したとか騙されたなどと感じることも多いのでしょう。
ワンルーム投資が節税できる仕組み自体はシンプルで、不動産所得が赤字になることによって、本業での給与所得との損益通算をして課税所得を減らせるということ。そしてそれらを確定申告を行うことによって、所得税が還付されたり住民税が抑えられるという節税効果が得られます。
不動産所得というのは賃料収入になりますが、そこから必要経費を引いて計算をしたものになります。主に経費とされるものは租税公課(不動産投資に必要な税金)、損害保険料、減価償却費、修繕費、ローン金利や借入諸費用、不動産管理料、司法書士・税理士報酬などがあります。それ以外にも不動産投資に関係があり、尚且つ必要性があれば交通費、交際費、工事費用なども認められます。
購入した初年度に関しては申告できる経費も多くなり(登記費用や諸費用や取得税など)、課税所得を大きく減らせるために還付金もある程度は還ってきます。しかし2年目以降は当然それらの経費は申告できないので、初年度と比較すると期待していたほどの節税効果が感じられないことは多いかもしれません。
しかしこれらの経費には実際に支払った支出と、実際には支出を伴わない帳簿上の経費である減価償却費に分かれます。減価償却費の計算方法はまず建物取得価格(土地を除く建物と設備のみ)を求めます。それをその建物構造によって定められた法定耐用年数を元に新築なのか中古なのか、そしてその経過年数によって、これも定められた償却率を使用して計算します。すると実際の支出は伴わない数十万単位の減価償却費を経費計上することが出来ます。
あらためて、ワンルーム投資の節税というのは『賃料収入-経費=赤字』にさせて、それを本業所得と損益通算をすることによって課税所得を減らし、住民税や所得税を抑えられるのです。そして帳簿上は赤字でも実際の賃料収入で黒字という状態を作ることもでき、投資用ワンルームの収支によっては、手元にキャッシュを残しつつ節税効果も狙えるというものなのです。
ただ重要なのはその節税効果がどれほどなのかということですが、前述の通り実際には購入初年度の確定申告時こそ場合によっては数十万くらいの還付金があります。しかし購入諸費用のない2年目以降は殆どの場合それよりも少ない節税にしかなりません。
なぜなら、たとえば初年度は購入諸費用の70~80万円とそれ以外の経費と併せれば、少なくとも100万円以上の赤字計上ができます。しかし2年目以降は通常は数十万単位での赤字にしかならないためです。たとえば年収が330万~695万円の人の所得税は20%ですが、もしも50万円程度の赤字しかないとしたら単純に50万×20%=10万円の節税となります。
しかし実際に投資用ワンルームを持っている方は判ると思いますが、月々のキャッシュフローがプラスならまだしも、フルローンで投資用ワンルームを購入している場合はマイナス収支のケースも多いと思います。それに加えて毎年の固定資産税もあるために節税分以上に手元のお金は減っていきます。もちろんもっと年収が高く、所得税率が33%や40%や45%ある人であればその分は節税効果は高くなりますが、果たしてそこまでのメリットを感じられるかどうかは疑問です。
これらが投資用ワンルームは節税になるのか?ならないのか?と疑問に思ってしまう理由になります。簡単に言えば、『たしかに節税にはなるけれども、大半のケースでは期待できるほどの節税効果は得られない』ということになるでしょう。
もちろん投資用ワンルームを持つ目的はそれだけではないと思います。ローン返済期間中はその多くの部分を、他人資本である家賃で支払いしていき将来的な家賃収益を目指したり、団体生命保険に加入していることとで、もしもの時の生命保険代わりにもなります。
それでもその目的を達する前の時点で、結局は売却される方が多いことも事実です。それは失敗したとか騙されたということだけではなくて、いろいろな事情やライフスタイルの変化によって手放すという方たちが大半です。いま一度、ご自身の投資用ワンルームの目的というものを考えてみることも大切ではないでしょうか。
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