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足元のワンルーム売却事情。自社データを元に「売却オーナーの傾向」を紐解く。

投資用ワンルームを所有していると、「みんなはいつ売ってるのか?」、ふと気になる瞬間があるものです。まだ売るべきでないのか、すでに売り時を逃しているのか──。

実際に「売るワンルーム」を通じてご売却いただいた方のデータをもとに、「購入~売却までの平均所有年数」・「購入時年齢」・「新築と中古の比率」などを集計しました。

調査対象は、2024年~2025年にかけて売却されたオーナーさま。自社実績ベースのデータであり、営業目的のマーケティング資料とは異なります。「リアルな」売却傾向として、ぜひご自身の状況と照らし合わせながらご覧ください。


所有年数の平均は「6.3年」。長いのか、短いのか?

集計によると、投資用ワンルームの平均所有年数は6.3年でした。中央値やトリム平均といった手法でも大きな差はなく(あくまで自社調べ)、おおむね「6年〜7年」の期間に収まりました。

最短では、3年程度で売却に至ったケースも確認されましたが、5年未満での売却は少数派。逆に10年以上保有し続けていた事例もありましたが、それでも全体の中心は「6年から7年のあいだ」に集中しています。

購入物件の内訳は以下の通りです:

・新築で購入:65%
・中古で購入:35%

この比率は「売るワンルーム」へ頂戴したご相談・会社へご紹介いただいたオーナー様情報をもとに集計したデータのため、ワンルーム業界全体の平均値に比べ差異が生じている可能性はあります。電話や訪問・DM営業による売却よりも、「ご自身で情報収集~自己判断での売却」をしたオーナーが多い傾向にあるため、その差を考慮する必要があるかもしれません。

そのうえで、自社データによると「購入時の平均年齢は30.1歳」でした。内訳は以下のようになります:

・20代で購入:50%(平均27歳)
・30代で購入:40%(平均33.5歳)
・40代で購入:10%(平均43歳)

注目すべきは、20代で購入したオーナーが半数を占めている点です。この傾向は今後さらに強まる可能性があります。紹介・友人経由・SNSなどを通じて情報を集め、比較的若いうちに判断する層が増加しており、購入年齢の若年化は「終点」へ向け進行中と捉えることができます。一方で、40代(以上)の購入が少ないのは「35年以上の長期ローンが組みにくく、価格帯に対しCFが悪く購入判断へ至りにくい」という、資金調達面が背景にあると思われます。

別の観点からみれば、「フルローンを前提としない層であれば、余剰資金を原資に年齢の関係なく、投資用ワンルームを買い進めることができる」と考えられます。20代を中心とした若年層は、販売会社に勧められたワンルームを長期&フルローンで購入、40代以上のミドル層は自身で積極的に物件選定・購入判断、といった「購入パターンの分化」傾向が強まっていく可能性もあります。


売却時期が早まる3つの理由

売るワンルームの松本・鈴木の体感も踏まえ、この「平均所有期間:6.3年」という数値は、以前(たとえば5年・10年前)と比較すると、短縮化されていると判断できます。ここからは、その理由について考えていきます。かつては「10年程度は所有するのが当たり前」と考えられていた投資用ワンルームですが、その変化の背景には、3つの要素が大きく関わっています。

1. ライフステージの変化が売却を促す
前述のように、昨今の購入層は20〜30代前半が大半を占めます。実際のオーナーヒアリングでも「購入時は独身・賃貸住まい」~「ワンルーム購入後に『結婚』『自宅購入』『出産』というイベントが発生」したというご意見が非常に多く、そのライフイベントが売却判断に直結します。事実、マイホーム取得時の与信確保を目的に、「投資用物件を手放してローン枠を空けたい」という相談は、コロナ禍以降、非常に増えています。

また、独身時代に始めた投資を、家族との共有資産として再検討するというケースもあり、「他者の目が入ることで、持ち続けることに対する疑問・不信」という意識変化が生まれることが、売却判断に繋がります。

2. 立地が弱い物件ほど、早期売却の傾向が強い
保有年数が短い物件に共通してみられる特徴が、「立地的に不利」という点です。具体的には、『エリア・駅からの徒歩距離・築年数』について、いずれか、あるいは複数の項目バランスが悪いことです。該当する項目が多いほど、購入当初より所有目的が見いだせておらず、前述のライフイベントなど、ふとしたキッカケで一気に売却判断が早まる傾向にあります。

また、これらの物件のほとんどは、「毎月赤字」です。所有から間もない期間ですらマイナスが膨らむ一方で、将来的な収支改善も見込めない場合、「これ以上持ち続けると、損失が拡大するだけ」と判断され、早期売却に至るのが実情です。いわば、『投資判断としての損切り』が現場で実行されているかたちです。このような「損切り」判断は、収支悪化の度合いが強い「フルローン・長期ローン物件」ほどされやすい傾向があり、イコール、若年層が購入したワンルーム物件ほど当てはまりやすいと言えます。

3. 市況上昇により、売れるまでの期間が短縮された
売却時期の早期化は、なにもネガティブな要因だけが影響しているわけではありません。アベノミクスを起点として、右肩上がりをつづける不動産相場を背景に、「購入時より高値で売却できるチャンス」が到来しています。新築購入した物件では、所有年数の経過に対して購入当初と収支変動がなく、ローン残債が減少した分のキャピタルを得るための「利確」の動き。中古購入した物件では、購入当初と現在の「家賃ギャップ(上昇差額)」を利用してキャピタルが得られるケース。このように、意図した・していなかったに関わらず、市況の押し上げがオーナーへ利益をもらたす事例も多々あります。


今後、売却までの所有年数はどう変化する?

売却時期が早まる背景には「個人事情(ライフイベント)」・「物件特性(立地)」・「市場環境(価格上昇)」という三層構造があり、それぞれが単独で作用することもあれば、複合的に売却を後押しすることもある、という分析をしてきました。とくに近年の傾向で、若年層による購入増加と、それに伴う変化スピードの速さが際立っており、「思っていたよりも早く売ることになった」「最初から長期保有のつもりではなかった」という声が増えています。逆にいえば、『投資用ワンルームの“出口戦略”は、想定より早く訪れる』という前提での計画立てが重要、といえるでしょう。

「このまま売却サイクルが短くなれば、将来的に3~5年での売却が主流になるのでは」と感じるかもしれませんが、現実にはそう簡単に短縮は進まないと考えられます。

まず、短期売却には大きなデメリットがあります。単純に、「売るためにお金がかかる」状況が発生しやすく、多額の支出をしても売却したい、と判断するオーナーが主流になるとは想定しにくいことが挙げられます。また仮にプラスで売却できたとしても、「短期譲渡」による利益は長期保有での譲渡に比べ、約2倍もの税金がかかります。このように、一定期間の保有は前提という状況に、今後も大きな変化は訪れないと考えられます。

一方、これまでに触れた理由から、10年以上所有するオーナー比率が減っているのも事実です。このため、今後は短期化するとしても5年〜6年、平均として6~8年という保有年数に定着する可能性が高く、「短すぎず・長すぎず」という保有~売却戦略が主流になっていくと推測されます。

なお、営業上よく聞く「5年ルール」(=5年は持ちましょう、のような営業トーク)についても、実際には税制や市況の変化によって意味合いが変わります。「5年持てばOK」という単純な基準ではなく、出口戦略は自分の目的と市況にあわせて柔軟に組み、いつでも変化に対応できる準備をしておくべきです。


「今、自分はどの位置にいるのか?」を知るために

今回の集計は、あくまで売却に至った実例をベースとしたものです。ですが、もしこの記事を読んで「自分もこれに近い状況かも」と感じたなら、それは次の判断へ進むひとつのタイミングかもしれません。

「今売るべきかどうか」は、収支だけで決めるべきものではありません。「家賃、立地、築年、今後の流通性、自分のライフステージ……」。そうした要素を主観ではなく、冷静な第三者目線で見つめなおすことが大切です。

『査定は、“売る”ためではなく“考える”ために行う』

売却査定=即売る、ではありません。「今の価値を知ること」が何より重要です。売るワンルームでお届けしている動画査定では、「まずは情報整理したい」という方にも安心してご利用いただけます。ぜひ、当記事を読んで「今が考えるときかも?」と思われた方は、下記リンクより査定依頼へお進みいただければ幸いです。



本記事は、投資用ワンルームをすでに所有しているオーナー様に向けた情報提供を目的としています。


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